
担当者が休むと、止まってしまう……
属人化を解消したい。
ただ、対象になりそうな業務が10も20もある中で、どれから手をつけるかが決まらない。
先に決めなければならないのは分類です。
属人化は、作業と判断に分かれます。
作業は人から外し、判断は基準を書き出します。手当ての方向が、この2つでは違います。
私は、kintoneのアプリ改修と自動化ツールの開発で、実際に作業を人から外してきました。
同時に、外したあとに仕組みを触れる人が1人になるという、次の詰まりも見ています。
- 作業の属人化と判断の属人化の見分け方
- 最初に手をつける1業務の選び方
- 解消したあとに残る詰まり
属人化は、作業の属人化と判断の属人化に分かれる
属人化を1つの問題として扱うと、手当てを外します。
先に2つへ分けてください。
属人化とは、社内の特定の個人に業務が依存している状態です。
社外の業者に頼らないと直せない丸投げとは、依存の向きが逆になります。
| 種類 | 依存しているもの | 担当者が抜けると | 手当ての方向 |
|---|---|---|---|
| 作業の属人化 | 手順の順番と細かい癖 | 同じ結果が出せない | 人から外す |
| 判断の属人化 | 経験にもとづく決め方 | 決められずに止まる | 基準を書き出す |
見分け方は1つです。
その業務を口頭で30分教えて、他の人ができるようになるなら作業の属人化です。
教えても「それは場合による」が出続けるなら、判断の属人化になります。
手順書が効きにくいのは、この2つが1枚の紙に混ざるためです。
手順を書いた紙に例外への対応を全部足すと、分量が増えて読まれなくなります。
マニュアルを作っても属人化が解消しない理由は、別の記事で扱う予定です。
作業の属人化は、人から外して仕組みに移す
作業の属人化は、教える相手を増やすと消えるものではありません。
人がやらなくてよい状態にすると消えます。
- 決まった文面を毎回打ち込む作業
- 同じ画面を同じ順番で操作する作業
- 別のシステムに同じ内容を書き写す作業
決まった文面は、選んで吐き出す形にする
私が責任者を務めていたコールセンターでは、通話後の申し送り事項を担当者が毎回手で書いていました。
文面の型は決まっているのに、書く人によって表現も情報量も変わります。
結局、あの人の申し送りが一番読みやすい。そういう状態でした。
そこで、申し送りの中身をドロップダウンや複数選択などの入力済みのフィールドを引用して置き換えました。
選んだ内容を定型の文面として吐き出すボタンを、JavaScriptで作っています。
手で打つのは、型に載らない事情があるときだけです。
打ち込む時間が減っただけでなく、書く人による差もなくなりました。
同じ時期に複数の施策を並走させていたためこの改修だけの効果ではありませんが、1時間あたりの架電数は21.3件から24.2件に変わっています。
同じ手順は、違う部分だけを設定で持たせる
もう1つは、国の電子入札システムから案件情報を取り出す作業です。
ログイン、検索、一覧の書き出し、掲載文書のダウンロードまでをBizRobo!というRPAで自動化しました。
RPAは、人がパソコンで行う操作を、そのまま代わりに動かすしくみです。
6拠点11ロボットをまとめるときに私が見たのは、手順と画面の2つでした。
手順は、拠点が違ってもほぼ同じです。
画面は、表示される内容が拠点ごとに違います。
そこで違う部分を外部ファイルに切り出し、例外として処理する形にしました。
共通の手順を1本だけ作り、違う部分は設定で持たせます。
この形にすると、拠点ごとに1台ずつ作るより、開発も保守も軽く済みます。
判断の属人化は、選択肢に落として記録する
判断そのものは自動化できません。
できるのは、判断の結果を選べる形にして残すことです。
申し送りの例に戻ります。
何を申し送るかを決めるのは、通話を聞いていた担当者本人です。ここは代われません。
代われるのは、決めた結果を文章にする作業のほうでした。
ドロップダウンに並ぶ選択肢は、それまで経験で判断されてきた分け方そのものです。
選択肢を作る作業が、そのまま判断基準を書き出す作業になりました。
- 結果をいくつかの型に分けられる判断
- 分けたあとに、次の行動が変わる判断
- 同じ分け方が来月も使える判断
すべての判断が選択肢に落ちるわけではありません。
年に1回しか起きない例外まで並べると、項目が増えて選べなくなります。
私は「その他」を1つ置き、そこに手入力を残しています。
どちらから手をつけるかは、回数と例外の数で決める
最初の1つは、回数が多く、例外が少ない業務から選びます。
見るのは2つだけ。回数と、例外の数です。
候補になりそうな業務を、1週間に何回やっているかで数えます。
月に1回の業務は後回しにしてください。外しても、効果が戻ってくるのが遅くなります。
その業務で「この場合は違う」が何通りあるかを、担当者に挙げてもらいます。
3通り程度なら仕組みに載ります。10通りを超えるなら、判断の属人化のほうが主です。
回数が多く、例外が少ないものを1つ選びます。
2つを同時に進めると、どちらも途中で止まります。
回数を見るのは、外したときの効果が回数に比例するためです。
例外を見るのは、作る手間と直す手間が例外の数に比例するためです。
電子入札のロボットを11台にまとめられたのも、手順が拠点をまたいで同じだったからでした。
回数が少なく、例外が多い業務は、当面そのままで構いません。
解消したあとに、仕組みを触れる人が1人になる
作業を人から外すと、今度はその仕組みを触れる人が1人になります。
属人化は消えるのではなく、移ります。
先ほどのロボットには、名簿の上では3名の担当が付いていました。
ただ、実際に手を入れられる状態にあったのは、長いあいだ1名です。
残る2名に意欲がなかったわけではありません。
日々の業務が詰まっていて、触る時間そのものが取れませんでした。
人数を割り当てることと、触れる状態を作ることは別だと私は考えています。
- 触る時間が、業務時間の中に確保されている
- 直し方が、作った人以外の言葉で書いてある
- 壊しても戻せる場所で、試せるようになっている
何を自動化して、何を自動化しないかを先に決める手順は、別の記事にまとめる予定です。
まとめ:最初の1業務を、今週のうちに決める
業務を1つだけ選んでください。
1週間に何回やっているかを数え、例外を書き出す。
それだけで、手順書にするか人から外すかが決まります。
自社の業務がどの段階で詰まっているかは、3分の診断でも確認できます。
